TOYBOX meets…

Vol.1 TOYBOX meets... Hidetaka “Swery” Suehiro

末弘“Swery”秀孝 氏(アクセスゲームズ ディレクター兼シナリオライター)with 和田康宏

TOYBOX meets…の第一回目のゲストは、Deadly Premonitionのディレクターで海外で人気の高いSweryさんです。

和田末弘さんが第一回目の記念すべきゲストということで。

末弘ずっとデッドリー(Deadly Premonition)でお付き合いしているのに、和田さんとちゃんと話す機会がそんなになかったので、こうして話すと いうのも面白いですね。

和田最初の出会いは…10年も経ってはいないけど、2004年くらいだったかな。

末弘2004年の5月だと思います。僕の書いた企画を、うちのスタッフが和田さんに持って行ったんですよ。

和田そうだ。その企画が、プロファイルで殺人事件を紐解いていくという企画でしたよね。

末弘Murder in the Rainという企画でした。

和田末弘さんのプロファイリングというのが面白いなと思って、それで、うちの金沢(現トイボックス)に企画を見せたんです。 彼は彼でずっとミステリー・アドベンチャーを作ってきていて、当時、住人が町でリアルタイムで動く、今でいうオープンワールドのミステリーゲームを企画していたんです。なので、この開発どう?という 感じで。
そしたら、末弘さんの当時作っていた「スパイ・フィクション」を早速遊んだみたいで、演出が非常に上手いと言っていたのを覚えています。その後、すぐに話し始めましたよね。

末弘田舎町で起こるオカルティックな物語をやりたくて、その根幹が同じだと 感じ ので、お互いのアイデアをミックスさせて、企画を作っていきました。

和田僕は実はわがままなタイプなので(笑)。ゲームを作り出すといろいろ言ってしまうので、今回は金沢のセンスと末弘さんのセンスで対決した方がいいものができると思って、 僕自体は一歩引いて、どう出来上がるのかなという感じでいました。

末弘出来上がるまでにいろいろなハードルを越えなければならなかった作品だったので和田さんと金沢さんのお二人のお力添えがなかったら、本当に世に出てなかったと思います。

和田本当に、ここで言えないくらい、いろいろありましたよねえ。内容を作り替えなけ ればいけないことも。

末弘最初はFBI捜査官も女性で考えていたのですが、海外からの意見で、現在の男キャラに変えました。 他にもいろいろと海外の意見を取り入れましたが、僕自身、海外ゲームを遊んでいるので、そんなに抵抗はありませんでした。ただ、物語とかゲーム性の部分にはこだわりがあったので、多分、マーケティング的な意見だったのでしょうけど、ガンシューティングを入れように言われた時は、どうしようかなぁと思いました。
今となっては、海外の方々からは「変わったサバイバルホラー」として認知してもらっているので、なるほど、 間違ってはいなかったのかな、なんて、結果論では思ってますけど。

和田そういってもらえると嬉しいですね。

末弘でも今から思うと、いろいろあった修正指示の中で、残虐シーンのカットが一番ショックでした(笑)。 表現者としては、ギリギリをどうしても行ってしまうんです。

和田日本はエロに対しては寛容だけど、グロに対しては厳しいですから(笑)。

(※編集注釈:ここから活字にできないトークが続く)

末弘でも、細かいところを直しても、この作品の骨子というか、芯の部分は変わらないと思ったので、とにかく 世に出してユーザーに届けたいと、その思いで作っていました。

和田特に海外では多くの反響を呼びましたね。

末弘とにかく、今までにないものを作ろうと思っていました。どこかにあるゲームを作るのは嫌だった。 多分「どこかにあるゲームにして下さい」というオーダーだったら、もっと抵抗があったはずなんです。 でも、金沢さんからのお題が「ホラーの要素をミステリーの恐怖と組み合わせられないか」という直球ではないものだったです。それで考えに考えて、僕の過程を経て出てきた内容を受け入れてくれたので、そこの抵抗というものは、最初から少なかったんですよね。
多分、和田さんも金沢さんもクリエイティブを理解されているので、僕への伝え方が上手かったんだと思います。

和田人と違うことをやりたいと思うのは同じです。というか、そうじゃないと意味がないじゃないですか。デッドリーの発明は、ザックですよね。主人公ヨークが話しかける「頭の中の友達」の存在。イコールそれがプレイヤーであるという。

末弘あれは深夜に合田(共同脚本執筆)とロイヤルホストで話しててコーヒー飲みながら、 脚本について 話し合ってた時に生まれたんです。映画の脚本とは違なり、ゲームにはヒントという要素が必要になる、でもそれがどういう形で表現できるのか。それを二人でずーっと考えてて。アイデアに詰まっていた時に、僕が、メニューが書いてある紙の裏に、「自分に話しかける」とか「しゃべり 続けるキャラ」とかいろいろ走り書きしてたんです。そしたら、あれ?これいいんじゃない?となって。 そこからですね、急速に話が膨らんで、ザックが出来上がって行きました。

和田そんな煮詰まったところから生まれたんですか。

末弘夜中パワーです(笑)。

和田(笑)

末弘「キャラをつかむ」という意味をすごく勉強させてもらった作品でした。この作品を作って以降、普通に思いつくアイディアに、もう一回それを自分で咀嚼(そしゃく)するような プロセスを入れられるようになった。例えば、何か修正指示があっても、それを乗り越えてアイデアが作れるというか。 残虐表現なんかも、今回で勉強したのでこれ以上は止めようとか考えるバランスも出て来ました。

和田バランス!?その割に、この前頂いた企画のアイデアはぶっとんでましたよね。主人公が…

(※編集注釈:ここから活字にできないトークが続く)

末弘面白いでしょ!(笑)

和田超面白いです。(笑)めちゃめちゃ売れそう。とにかくこの世にはない(笑)。

末弘和田さんは、先ほども「人と違わないと意味がない」と仰ってましたが、クリエイティブの先輩としてずっとそういう風に信念をを持ち続けて作品を作っているというのは、凄いなぁと思います。

和田うーん、何なんでしょうね。コンプレックスというか、劣等感みたいなものがずっとあるような気がしてます。そこだけがいい意味でのハングリー精神になっているんじゃないかと。ずっとこう、やりきった感とか、満足感みたいなものって、全然ないし。

末弘でも、全世界であれだけのユーザーが(牧場物語で)いる訳じゃないですか。

和田それでも、毎回反省ばかりです。ああすれば良かった、こうすればもっと…とか。とにかく、やり切れなかったという思いの方が、全てのプロジェクトでありますね。思う存分できたプロジェクトなんてない。

末弘そうですね、どこかで我慢したり、疲れることがあったり。

和田でも、ファミコン時代からゲームを作っている自分からすると、我慢してるのは当たり前で、いつも何かの制約の中で表現をすることには慣れていたんだけど、最近は、何でもできるようになってしまったので、 結局は予算との戦いになってしまうというか。ビジネスとしてのコンテンツはそういうものだと理解はしているのだけど、モノを作るうえではその中で何を取捨選択して行くかは作り手のセンスだと思うんですよね。だからこそ今、アプリとかでインディーズへと流れが加速しているのは、みんなそう思っているからなんじないかな、と。

末弘好きなものを作りたくて独立されるクリエイターってたくさんいますけど、結局はそれができずにほとんどの人が終わっている。そういう中で、今もそういうクリティビティを持ってやられてる訳ですよね。

― 末弘さんの最近ハマっているもの

末弘最近ハマっているものを持って来てくれと言われて、改めていろいろと考えていたら本当に数日前に気が付いたんですけど…、ニコラス・ケイジが好きだなあ、と(笑)。

和田ニコラス・ケイジ?

末弘いや、好きというとちょっと違いますね。好きな俳優は誰かと聞かれたら、ニコラス・ケイジなんて絶対 出てこないんですけど、記憶に残っている映画を挙げて下さいと言われると、「赤ちゃん泥棒」とか「ワイルド・アット・ハート」とか…。あれ?どっちもニコラス・ケイジ主演やん!と。それに、彼の映画はほとんど見てるんですよね。それで気が付いたんです、今回テーマを頂いて。隠れニコラス・ケイジファン だと(笑)。

和田ニコラス・ケイジって、すごいB級感がありますよね。

末弘彼はアカデミー主演男優賞取ってるんですけど、その匂いがないじゃないですか。

和田「リービング・ラスベガス」ですね。

末弘アカデミー取った後に出た映画が「コン・エアー」(笑)。

和田(爆笑)

末弘それから「ザ・ロック」(笑)。彼はヒーローになりたいんですよ。ケイジという名前もパワーマンというヒーローから取ってます、確か。デビュー当時はニコラス・コッポラですから。

和田そうですね、コッポラファミリー。

末弘気が付くと目で追っている存在がニコラス・ケイジなんです。特に彼は、カツラの使い方がすごい。

和田(爆笑)

末弘「コン・エアー」もそうですけど、「魔法使いの弟子」とか「NEXT」も、カツラの選び方が半端じゃないんです。それだけでちゃんとアイコンになってるんです。

和田このギリギリのカツラの選び方が凄いですよね。地毛を意識しているのか(笑)。

末弘最近の彼の映画では「キック・アス」が一番良かったです。みんなクロエ・モレッツにばかり目が行きますが、 あの映画はニコラス・ケイジですよ!

和田確かに!

末弘転じて…あくまで転じてですよ、どうやら僕は、カツラを被っている役者がどうも好きみたいで(笑)。ブルースウィリスも「ジャッカル」とか、「サロゲート」なんかで横分けとかしてるのを見ると引き込まれていく自分に気が付くんです。

和田萌えてしまうんですね(笑)。

末弘最近だとジェイソン・ステイサムが「リボルバー」でロンゲのカツラを被ってるんです。

和田(爆笑)

末弘役者がカツラを被ることの素晴らしさを教えてくれたのが「コン・エアー」だったんですね(笑)。

和田末弘さんは、まあ、カツラ俳優に限らず(笑)映画好きだから、たくさん見てますよね。なので、ニコラス・ケイジの映画をたまたま見てるんじゃなくて、映画を全部見てるだけじゃないですか?

末弘(笑)それが高じてデッドリーでは車の中でヨークが映画のウンチクを語るようにしました。

― 和田の最近ハマっているもの

和田昔からゲームやってるか本読んでるかっていう生活なんですけど、今強烈におススメしたいのが「ミレニアム」って小説なんです。

末弘ドラゴン・タトゥーじゃないですか。読んでないけど映画は見てます。

和田僕も映画から入って、興味があったので本も読み始めたんですけど、何がすごいって、翻訳がすごいんです。村上春樹っぽいというか、超訳でもないし、読み物としてめちゃくちゃ面白い。もうリスベット、超大好き(笑)。

末弘分かります!

和田翻訳ものって、普通、横文字の登場人物とか地名ってなかなか頭に入ってこないものなんですよ。この本でいうと、ハンス・エリック・ヴェンエルストレムとか…。でも、そういった名前がすんなりと入ってくる構成の力がすごい。

末弘それはすごいですね。僕は書き物する時に気を付けていることがあって。登場人物ってたくさん出てくると名前を覚えられないじゃないですか。なので「〇〇の人」って言い換えられるように意識してます。例えば「変人のFBI捜査官」とか「鍋のおばさん」とか役割で言えるようにとは考えています。なので、最悪、名前を憶えてもらえなくてもいいように、とは考えてますね。

和田文体が自然なのと、突っ込みどころが少ないので、登場人物の名前を覚えるところまですんなり入ってくるんですよ。頭に残る構成になってる。

末弘元々文章に作家力があるところに構成力のある翻訳が付く。翻訳も原作への愛ですからね。

和田他の翻訳小説もたくさん読んだんですけど、どこか突っ込みたくなる書き方をしてるんですよ。

末弘「ノー・カントリー」の原作は映画とかなり近くて、僕は小説を先に読んでたんですけど、映画を見た時に、監督の表現しているものが、あの原作本のボリュームをちゃんと2時間でやっている。

和田「ドラゴン・タトゥーの女」の映画もそうかもしれないですね。

末弘いやあ、ハマってるのが「ミレニアム」とは思わなかったなあ。いつ本は読まれてるんですか?

和田普段は寝る前ですね。本がないと寝れないんですよ。大体、寝落ちして、翌日どこまで読んだか分からずに巻き戻したりするんですけど。

和田それともうひとつ、今ハマってるものがあるんですけど、それが「カルチョビット」(ニンテンドー3DS)。

末弘サッカーゲームですね。やってないです。

和田自分の選手を育てて試合をしていくシミュレーションゲームなんですけど、試合は見てるだけなんですね。

末弘ダビスタみたいな感じですね。

和田作ってる方も同じなので、まさにダビスタなんですけど、事務所があって選手管理もして、年棒も管理して。でもそういうことはさて置き、何が面白いって、試合のシーンがめちゃめちゃ面白いんです。

末弘へえー。

和田見た目としてはこんな感じでスーファミっぽいんですけど、なんというか、サッカーしてるんです。スルーパスの出方とか、ゴールポストの跳ね返りとか、選手の動き出しとか、まさにサッカーそのものなんです。いや、本当に面白いんです。AIがホントにすごい。選手も記号として出てる感じなんだけど、それで別に問題ない。

末弘見てて懐かしい感じがしますよね。きょーび、「秘書」がひらがなで「ひしょ」って(笑)。

和田そう(笑)。でもそんなの関係ない。グラフィックがちゃんとゲームプレイを楽しむお手伝いをしてるんです。そういう意味では、デッドリーもグラフィックがイマイチとか言われたりもしたけど、ゲーム自体を評価してくれている人たちは「ゲームプレイの本質がシステムにあるということをこのゲームは示している」と言ってくれてますよね。

― ということで、

和田今回はデッドリーのディレクターズ・カットということで久しぶりに一緒にお仕事しましたが、 ぜひまた別の新しいプロジェクトで一緒にやりましょう。

末弘そうですね。金沢さんと打ち合わせてるミステリーホラーの新企画もあるので。

和田さっきのぶっとんだ企画も、ぜひやりましょう!コンシューマだと怒られるかもしれないので、別のところで
(笑)

末弘了解です!以上、みんな愛してる!

末弘“Swery”秀孝

PROFILE
アクセスゲームズのディレクター兼シナリオライター。 代表作は、PS3/X360「Red Seeds Profile/Deadly Premonition」 PSP「LORD OF ARCANA」その他多数。

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